2005年11月24日~12月7日
富山県立高岡工芸高等学校長 濱田 宏
この度、第12回青井中美展コンクールを実施したところ、県内61中学校から800点もの出品がありました。絵画、デザイン、彫刻の分野から優れた作品24点を表彰し、美術館に展示いたしました。若い感性で、ただ上手に創作するだけでなく、第三者に伝えたいという「気持ちを込めた」ものが作品に意図されている秀作揃いと審査員を喜ばせました。
さて、青井中美展は本校100周年記念事業で、青井記念館が現在地に新築移転となった機会に発足したもので、県下中学生を対象に、美術工芸作品コンクールを開催して、若き中学生の創作意欲を促し絵画・工芸、に親しむ機会を設けさらに郷土の芸術家にも感心を抱いてもらおうとしたものです。
本校には、本県の貴重な財産でもある、富山県工芸学校時代の由緒ある作品、芸術家を目指した若き日の作品、あるいは大成して寄贈された芸術作品が沢山収顧されています。
本校は明治27年に富山県工芸学校として、若き美術家・工芸士の養成学杖として開校されました。創校当時の学校は、一流の指導者、日本一の施設設備、そして近郷近在から集まってくる優秀な学生と三拍子揃った日本有数の美術系学校として全国に知られていました。卒業生の中から日本を代表する芸術家を数多く輩出しております。
このような由緒ある地で、県下中学生を対象に美術・工芸作品を一同に展示することは大変意義のあることであり、今回で第12回を迎え、絵画・クラフト両部門の応募数も多数に増え、作品内容も充実していることは主催者として大変喜ばしいかぎりです。
おわりに、生徒の指導に当たられた中学校の先生方や4月から企画運営に当たられました関係各位に厚く感謝申し上げます。
第12回青井中美展 青井大賞
「自画像」
棚田 早紀 高岡西部中学校3年
青井中美展審査評
絵画部門
鶴谷 登・熊谷正克・吉川信一
応募点数319点、入選作品138点で入選率43.3%と厳選となりました。やはり時間をかけてしっかりと画面と向き合った作品が評価されています。
青井大賞の「自画像」棚田早紀さんの作品は、人物の持つ性格をしっかりと捉え、描写力もあり、力強い表現となっております。顔の表情もよく表現されています。
優秀賞の「教室」室作真理子さんの作品は、窓から差し込む光が教室にいろんな表情をみせています。全体を柔らかい調子で包み込む空気をよく表現しています。
チューリップテレビ優良賞「旅路の風」田中晶子さんの作品は、全面大きく描かれた暖簾が大きく風でめくれあがっている様子を描いたもので、的確に風を表現しています。チューリップテレビ優良賞「わたし」福田周さんの作品は、衣服の表現もよく、人物全体の雰囲気も良くでている。顔の表情も繊細な表現になっていて良い作品となっている。
富山新聞社優良賞「描く友達」数井昇平君の作品は小気味いい作品となっている。描写力もありいい作品である。
彫刻・工芸部門
大角 勲・竹田 貞郎・吉井 清隆
今年の応募作品は、昨年より作品の室は向上しているが、中学生らしい力強さや若さがなく大作などの迫力のあるものが少なかった。
県教育委員会教育長賞の廣島里鈴さんの彫刻作品「ある形」は、アルミニウムを使用して金工の鍛金・ねじりなどの技法で、魚の単純化した・頭・骨・尾びれを組み合わせて構成され魚をモチーフに美しくまとめられた新しい感覚ですばらしい作品である。
最優秀賞の宮池章恵さんの作品「きらめき」は、少女の頭像で彫刻の持つ造形的な表現の基礎である塊として適切な処理や質感など粘土の特質をうまく利用し清らかな少女の表情を表現した秀作である。
優良賞の津幡茉緒さんの作品「クローバー」は、平凡な陶芸による花器ではあるが、静かな動きがあり粘土の柔らかなリズムが模様のクローバーと素直に交わり落ち着いた作品である。
デザイン部門
玉井 晶夫・太田 広信
今年の中美展のデザイン部門の応募は275点で入選は35%ぐらいの95点に絞り込みました。
各学校で厳選されたらしくてレベルが高い力作がそろい、入選作品と入賞作品にエントリーする作品の審査も含め大変苦労しました。
ただ、全体的に小型グラフィックの作品が多くて他部門よりも量感的に見劣りする印象があります。富山県知事賞となった「蒼の世界」も遠近法的な構成で人物から発するリズム感と絵画的表現、細部に渡る丁寧な仕上げは、青井大賞の絵画作品と最後まで競いましたが、ボリュームの差で大賞を逃したのが惜しまれます。そのた、入賞作品はどれも構図・色彩的に明るく強いエネルギーを感じることができます。
第12回青井中美展 入賞作品
富山県知事賞 |
富山県教育委員会教育長賞 |
最優秀賞 |
優秀賞 |
富山新聞社優秀賞 |
チューリップテレビ優秀賞 |