【青井記念館美術館】第24回 青井中美展

 

 

                                                                                       2017年11月16日(木)~12月3日(日)

 第24回青井中美展の開催にあたって

                                                                                     富山県立高岡工芸高等学校 校長 六家 敬吉

 このたび、第24回青井中学生美術展(青井中美展)を実施しましたところ、県内41校の中学校や特別支援学校から573点の応募をいただきました。

 今年は、絵画、彫刻、工芸、デザインの分野から、若い感性の秀作作品276点が入選・入賞し、青井記念館美術館に展示いたしました。

 この青井中美展は、県内の中学生を対象に、制作された美術工芸作品を本校出身の第一線でご活躍の作家・デザイナーの各先生に鑑審査いただく展覧会です。

 本美術展を契機として、中学生にはより一層創作意欲を高めてほしいと考えております。

 さて、本校は明治27年に「富山県工芸学校」として、若き美術家・工芸士の養成学校として開校されました。創校当時の学校は、一流の指導者、日本一の施設設備、そして近郷近在から集まってくる優秀な学生と三拍子揃った日本有数の美術系学校として全国に知られていました。卒業生の中から、芸術院会員や重要無形文化財保持者(人間国宝)など日本を代表する優れた芸術家が多く輩出されています。
 このような由緒ある地で、県内の中学生を対象とした美術展を開催し、優秀作品を一同に展示することは大変意義のあることであり、絵画、彫刻、工芸、デザインの各部門の応募数も多く、作品内容も充実していることは主催者として誠に喜ばしいかぎりです。
 おわりに、審査にをしていただきました先生方をはじめ、これまで生徒を指導してこられました先生方及び4月から企画運営にご尽力いただきました関係者の皆様方に厚くお礼申し上げます。

 


 

第24回青井中美展 青井大賞

 

 

『自分をみつめる』

芳野中学校1年 髙島 吉平 

 


 

入  賞  作  品

 

 

富山県知事賞

「未来の構図」

戸出中学校 谷崎 愛唯

富山県教育委員会教育長賞

『道すがら』

大門中学校 橋本 鴻暉

   

最優秀賞

「空を見上げる私」

戸出中学校 石﨑 千遥

優秀賞

「愛犬」

早月中学校 木野本 陽咲

   

富山新聞社優秀賞

「夏の思い出」

城端中学校 松長  愛

チューリップテレビ優秀賞

「永遠のドレス」

西條中学校 濱本 花菜


 

青井中美展審査評

 

絵  画  部  門

杉山 直孝・大村 雅章・上杉 靖吾

 

 絵画部門には224点の出品があり、内90点を入選とした。描画技術の高さに加え、作者がモチーフに込めた強い思いが伝わってくる作品が多くあった。

青井大賞 「自分をみつめる」 髙島 吉平
構図、デッサン力、色彩力いずれもレベルの高い作品である。地の紙色、セピア調の色調、背景においたモチーフが融合し、日本画を思わせる雰囲気を醸し出している。さらに、人物の輪郭を描くことでその存在感を強調し、心の内面を見事に表現している。

富山新聞社優秀賞 「夏の思い出」 松長  愛
夏の日常風景を劇的に切り取り、高い表現技術により描かれている。幼子の豊かな表情、肌の柔らかさなど、その質感表現も見事である。空間を生かしモチーフを強調した構図も素晴らしい。

富山新聞社優良賞 「3年間の思い出」 松浦 歩那
様々なモチーフに3年間の思い出を込め細密に表現された作品は、デザイン的な要素も感じさせながら高い訴求力のある心象表現となっている。

富山新聞社優良賞 「私の好きな金屋町の風景」 髙井 麻帆
大胆かつ緻密に表現された郵便ポストが、観るものの目を惹きつける。全体の彩度を押さえ濃淡により遠近表現された美しい作品である。

 


 

彫 刻 ・ 工 芸 部 門  

竹田 貞郎・般若 保・鈴木 甲一郎

 
 応募数は168点で、入選作は94点となり、ほぼ例年通りだった。中でも彫刻部門は質が高く力作が多かった。制作に道具と時間がかかるが、伝統技法の作品も取り上げてほしい題材である。

富山県知事賞 「未来の構図」 谷崎 愛唯
プラスチック(FRP)で作られている作品。彫刻の基本である動き、バランス、リズムを正しく表し、指で作ったフレームの中から見える少女の表情がみごとで、見る者を引きつけるすばらしい作品である。

最優秀賞 「空を見上げる私」 石﨑 千遥
人物の骨格、動き、バランスと彫塑の基本を踏まえた秀作である。

チューリップテレビ優秀賞 「永遠のドレス」 濱本 花菜
フルモールド法によるアルミニウム材で作られた鋳金作品である。ロングドレスをシンプルなフォルムと絵柄でまとめ、器としての用途もあり調和のとれた作品でとても良い。

優良賞 「AQUARIUM」 上野 真菜
銅版の打ち出しで、限られた鍛金の道具でここまで良く打ち出した努力が認められる作品である。

 


 

デ ザ イ ン 部 門  

玉井 晶夫・佐藤 克己

 
 応募数181点のうち、入選・入賞は92点であった。1校で29点もの出品があり、デザインに対する関心がより高くなった傾向があるものの、偏りのある学校も見受けられた。
 授業中の作品と思われる小品の中でも、もっと仕上げに力を入れて欲しかった、そんな感性あふれる作品があって、入選できなかったのが残念でならない。

富山県教育委員会教育長賞 「道すがら」 橋本 鴻暉
規格の中で1番大きいサイズのB1パネルで制作。その大きさの中に、作者が道で出会った風景や無数の生き物たち。それらの記憶を旺盛な観察力で丁寧に描きあげた秀作である。自分の心の中の風景を呼び覚まし、自分の歩んできた道を見事に表現している。

優秀賞 「愛犬」 木野本 陽咲
犬のイラストが巧く、色彩も鮮やかで力強さを感じる。ポイントに反対色を組み合せることにより、不思議なインパクトを作り出すあか抜けた表現方法は、将来デザイナーとして立派に成長できるセンスを持っている。

優良賞 「ARCHITECT」 牧田 衣織
アーキテクチュアは建築や構造という意味。画面を良く見ると図面や建築物が見えてくる。そして大胆なローラー仕上げが建設の未来を感じさせる。大胆で人を引きつける作品。

 


 

審査会 11月3日(金) 尚美会館

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

表彰式 11月16日(木) 尚美会館 15:00~

 

 

 

 

 

 

 

 

講評会 11月16日(木) 青井記念館美術館 15:55~