【青井記念館美術館】第31回青井中美展

第31回青井中美展

2024年11月15日(金)― 12月1日(日)

第31回青井中美展の開催にあたって

富山県立高岡工芸高等学校 校長 角井 勇人

 このたび、第31回青井中美展(中学生美術展)を開催しましたところ、県内36校の中学校から420点もの作品を応募いただきました。絵画・彫刻・工芸・デザインの分野から、若い感性あふれる作品281点が入選・入賞し、青井記念館美術館に展示いたしました。

 この青井中美展は、本校ゆかりの実業家、故青井忠治氏寄贈による青井記念館美術館の改築・竣工を記念して始まったもので、今年で31回を数えます。中学生の創作活動の発表の場として、毎年多くの作品が出展されます。今年も中学生諸君からの作品一つ一つを、第一線でご活躍の作家・デザイナーの各先生方に鑑審査をいただきました。

 入選・入賞された皆様には心よりお祝いを申しあげますとともに、出品された中学生の皆様には、本美術展を契機としてより一層創作意欲を高め、作品制作の励みとしていただければ幸いです。

 本校は明治27年に若き美術家・工芸士を養成する「富山県工芸学校」として開校し、今年で創立130周年を迎えました。日本有数の美術系学校として全国に知られており、卒業生には芸術院会員や重要無形文化財保持者(人間国宝)など、日本を代表する優れた芸術家を多く輩出しております。

 この歴史と伝統ある本校で、県内中学生各部門の力作を集め、一堂に展示できますことは意義深く、主催者として誠に喜ばしい限りです。

 終わりに、審査員の先生方をはじめ、これまで生徒の指導に当たってこられました中学校の先生方、企画運営にご尽力いただきました関係各位に厚くお礼を申しあげます。

 


 

第31回青井中美展 青井大賞

 

 

 

「いななき」

平中学校3年 辻 由起乃 

 


 

青 井 中 美 展 審 査 評

絵 画 部 門

  藤田 みゆき・大村 雅章・野畠 峰彦

  絵画部門の応募数は219点のうち、147点を入選とした。全体的に素直な視点で丁寧に描いた作品が多く、絵画表現を楽しむ中学生の様子がうかがえた。特に空想画の要素を含む作品については、自由な発想が目を引いた。今後は作品の魅力がより伝わるよう、大きさの検討や題名の工夫にも期待したい。

富山県知事賞「正月」 宮崎 真菜

 食卓に並んだ豪華な正月料理。真上から見下ろした構図が、料理を前にした人々の高揚感をも感じさせる。画面への切り取り方が絶妙で、中央のおせちを囲む大小様々な器の配置も心地よい。鮮やかで濃厚な色彩と、細かくも軽快な描写で、料理のもつ幸福感を最大限に表現した力作である。

富山新聞社優秀賞「常世の花々」 立野 智桧侶 

 白の強さを生かした色彩が美しい。花の色をバランスよく配置し、永遠に豊かで穏やかな常世の世界を創り出している。迷いのない描きぶりや絵具の厚み等、油彩画のよさも十分に発揮されている。中央の花瓶に映るのは現世か?見る者の想像をかき立てる作品である。

優良賞「ゆらぎ」 門田 奈桜

 曲線の形や灰色の組合せを工夫し、水面に広がるゆらぎを大胆に表現している。水の恩恵で黄色の花が生き生きと成長するようなイメージを受け取った。転々と配置された水滴の立体感もすばらしい。灰色と黄色の精選された色彩の中に、絵としての力強さを感じる。

 


 

彫 刻 ・ 工 芸 部 門

 十六代 小原 治五右衛門 ・ 手操 能人

 彫刻・工芸部門の応募点数は102点で、70点の入選となった。素材は粘土や金属、紙や木材、スタイロフォームや廃工業製品など多岐にわたる。清新なアイデアで作られた作品が多く見られ、将来これらの作品が、地元の伝統技法である鋳金や木彫、蒔絵や乾漆などで作られると、更なる新境地に期待を持たせてくれるであろう作品に多く出会えた。

青井大賞「いななき」 辻 由起乃

 凜とした佇まいで存在感があり、造形力と色調から馬の生命力と躍動感を感じる。黒の中に金を配した立て髪や蹄、尻尾が台座にまで繋がり、馬の魅力を引き立たせている。遠く離れた仲間へのいななきだろうか。作者の観察力と感性の高さを感じる快作である。

最優秀賞「へいわのぞう」 湊 栞奈

 穏やかな象の表情とは一変した色鮮やかな配色が目を引いた。様々な色が体内で一つとなり、不思議と調和が生まれている。大地を力強く踏み締めながら個性を讃え合う、作者の平和への願いが見て取れる秀作である。

優良賞「私は、私・・・」 海老澤 琴芭

 陶胎のアンコウと木製のパレットの組み合わせが見ていて楽しい。ここは海なのか、陸なのか、そして、私は?と想像をかき立てられる。


 

デ ザ イ ン 部 門

  筏井 秀樹 ・ 城石 和良

  デザイン部門には、99点の応募があり、64点が入選となった。イラストレーションが多いなか、全体の構成や配色、観る人の心を動かす作者の主体性と「作品の目的」を考慮して、デザインという視点で審査した。中学生らしい自由な発想と高いレベルの技術に驚くと共に、創造とデザインを楽しんでいる作品が印象に残った。

県教育委員会教育長賞「Green」 中田 春愛

 Greenから思いつくアイテムを次々と描き、緑から生まれる生命力や健康、野菜のみずみずしさ、清涼感、躍動感など様々な現象と感情をまとめたエネルギーに満ちた潔い作品である。

優秀賞「夢」 米澤 史華 

 青い海を泳ぐ大きなクジラは、夢に向かって泳いでいるのか?作者の意図は掴めないが、描画力と色彩が良く、遠近法も使って中心から時計回りに視線が誘導されてクジラの顔に目が留まる計算された構図に感心した。

チューリップテレビ優秀賞「私の世界はこんなにも美しい」 阿部 千彩紀

 自分の持っている思考や夢、友人や家族、なりたい理想の自分など、自分を取り巻くすべてを表現した作品。作者の未来が予感できるファンタジーな仕上がりで、観る側も癒され幸せな気持ちになった。

 


 

第31回青井中美展 入賞作品​

富山県知事賞

「正月」

福野中学校3年 宮崎 真菜 

富山県教育委員会教育長賞

「Green」

五位中学校2年 中田 春愛

 

 

 

 

 

   

最優秀賞

「へいわのぞう」

南星中学校3年 湊  栞奈

優秀賞

「夢」

牧野中学校2年 米澤 史華

 

 

 

 

   

富山新聞社優秀賞

「常世の花々」

福岡中学校2年 立野 智桧侶

チューリップテレビ優秀賞

「私の世界はこんなにも美しい」

大門中学校3年 阿部 千彩紀

 

 

 

 

 

 


 

 

審査会

10月31日(木) 尚美会館

 

 

 

 

表彰式

11月15日(金) 尚美会館 15:00~

 

 

 

 

講評会

11月15日(金) 青井記念館美術館 15:55~