【青井記念館美術館】第29回 青井中美展

第29回青井中美展

2022年11月11日(金)― 11月27日(日)

第29回青井中美展の開催にあたって

富山県立高岡工芸高等学校 校長 髙久 直樹

 このたび、第29回青井中美術展(中学生美術展)を開催しましたところ、県内40校の中学校から446点もの応募を頂きました。今年も、絵画・彫刻・工芸・デザインの分野から、若い感性の秀作作品257点が入選・入賞し、青井記念館美術館に展示いたしました。

 この青井中美展は、本校創立100周年を記念して始まったもので、今年で29回を数える歴史を有しております。中学生諸君からの作品一つ一つは、第一線でご活躍の作家・デザイナーの各先生に鑑審査をいただいております。

 入選・入賞された皆様には心よりお祝いを申し上げますとともに、出品された中学生の皆様には、本美術展を契機としてより一層創作意欲を高め、作品制作の励みとしていただければ幸いです。

 さて、本校は明治27年に「富山県工芸学校」という名の、若き美術家・工芸士の養成学校として開校され、日本有数の美術系学校として全国に知られていました。

 卒業生の中からも、芸術院会員や重要無形文化財保持者(人間国宝)など日本を代表する優れた芸術家が多く輩出されております。

 このような由緒ある地で、県内の中学生を対象とした美術展を開催し、優秀作品を一堂に展示することは大変意義があり、絵画・彫刻・工芸・デザインの各部門の応募数も多く、作品内容も充実していることは主催者として誠に喜ばしい限りです。

 終わりに、審査に当たられました先生方をはじめ、これまで生徒の指導に当たってこられました先生方、並びに企画運営にご尽力いただきました関係の皆様に厚くお礼を申し上げます。

 


 

第29回青井中美展 青井大賞

 

 

「おおかみ少年」

十三中学校3年 正保   咲空 

 


 

青 井 中 美 展 審 査 評

絵 画 部 門

  杉山 直孝・大村 雅章・城石 和良

  絵画部門には229点の出品があり、内129点を入選とした。構図と色彩の素晴らしさに加え、対象ををよく見つめ細部まで丁寧に描かれた作品が多く、例年より高い入選率となった。今後、例えば、画材による発色の違いを研究して表現に生かすなど、さらなるチャレンジを期待する。

富山県知事賞「自画像」 松長 桃子

 自分というモチーフに真摯に向き合い、時間をかけて絵の具を重ねている。正確なデッサン力、色彩の調和力に加え、マチエールの微妙な変化により、重厚な雰囲気を醸し出す作品を創り上げている。作者の心を感じる力作である。

最優秀賞「踏切」 渡邉 咲 

 構図の素晴らしさと発色のよさが見るものを惹きつける素晴らしい作品である。明暗の処理が絶妙で、ぼやかしやグラデーションによって空気感も巧みに表現され、近景から遠景までをよく感じることができる作品に仕上げている。

チューリップテレビ優秀賞「またね。」 藤田 有

 細密な描写により命を吹き込まれたモチーフが、バランスのよい空間を創り上げている。明色と暗色を巧みに使い分けることで、装飾的で独特の世界観をもつ作品に仕上がり、作者が絵に込めた強い思いを感じ取ることができる。

 


 

彫 刻 ・ 工 芸 部 門

  小原 治五右衛門 ・ 枡田 篤史

 今回の応募数は123点、入選数は76点である。応募数は、昨年度が特に多かったため今年は少なく感じるが、例年通りの応募数である。素材は、和紙や洋紙、フェルト、針金、金属、木材、ツタ、粘土、漆、貝、産業廃棄物と多岐にわたる。単一素材のものから、素材を複合するミクストメディアまで、様々に表現しており、楽しんで制作していることが伝わってきた。

青井大賞「おおかみ少年」 正保 咲空

 月を見合う人間とオオカミが題材となっている。この少年とオオカミは同一人物なのか、それとも別々の生き物なのか、観る者の想像を掻き立てる作品である。コロナ禍で世間は騒がしくも、自然は心穏やかにゆっくりとしているというメッセージが伝わってくる。造形技術も大変素晴らしい秀作である。

富山新聞社優秀賞「獅子」 大西 響花

 フェルトで制作させた平面作品であるが、立体的につくられている。日本の芸術史では獅子の実物を見る機会がなかったので、想像上の動物として猫に似せて描かれているが、本作品はライオンを忠実に再現している。制作技術が高く迫力のある作品に仕上がった秀作である。

 


 

デ ザ イ ン 部 門

  玉井 晶夫 ・ 本野 佳司子

  今年のデザイン部門の出品数は94点。入選は52点であった。例年より出品数が少ないのはコロナ禍の影響もあったように感じる。だが、力作が多く、立体的なポスターも入賞するなど、多彩な表現が見られた。

富山県教育委員会教育長賞「小さな少女」 吉田 朱理

 自分の理想、心情を少女を中心に表現してある。大きな花弁に少女を乗せ、空や緑、ネコ、トンボなどをデザイン的に配し、女性らしいタッチと、優しい色彩で描き上げた。写実的表現力も良くてアニメーション風に仕上げてある。残念ながら、作品がやや小さく、もっと大型の作品であれば、さらに上位の賞が取れたであろう。今後に期待したい。

優秀賞「I want to be myself.」 小田原 木花 

 私は誕生日を迎え、こうなりたい、こうありたい。という強いメッセージが画面に伝わってくる。その1コマを見ると実に表現が豊かで微笑ましく、楽しさが伝わってくる。大胆ながら、人を惹きつけるエネルギーを感じた。

 


 

第29回青井中美展 入賞作品​

富山県知事賞

「自画像」

城端中学校3年 松長 桃子 

富山県教育委員会教育長賞

「小さな少女」

大門中学校2年 吉田 朱里

 

 

   

最優秀賞

「踏切」

五位中学校2年 渡邉  咲

優秀賞

「I wanto to myself.」

高陵中学校2年 小田原 木花

 

 

   

富山新聞社優秀賞

「獅子」

城端中学校3年 大西 響花

チューリップテレビ優秀賞

「またね。」

高岡西部中学校3年 藤田 有

 

 

 

 


 

 

 

審査会

10月29日(土) 尚美会館

 

 

 

表彰式

11月11日(金) 尚美会館 15:00~

 

 

 

講評会

11月11日(金) 青井記念館美術館 15:55~