2004年11月24日~12月7日
富山県立高岡工芸高等学校長 濱田 宏
この度、第11回青井中美展コンクールを実施したところ、県内62中学校から958点もの出品がありました。いずれも質の高い良作ぞろいで、年々応募数が増えるとともに技術水準も向上しており、審査員を喜ばせました。 青井中美展は本校100周年記念事業で、青井記念館が現在地に新築移転となった機会に発足したもので、期同じく、青井記念館に収蔵してある埋もれた貴重な作品を市民に常設展示することになり、併せて県下中学生を対象に美術工芸作品コンクールを開催して、若き中学生の創作意欲を促して絵画・工芸に親しむ機会を設け、郷土の芸術家にも関心を抱いてもらおうとしたものです。
本較には、本県の貴重な財産でもある、富山県工芸学校時代の由緒ある作品、芸術家を目指した若き日の作品、あるいは大成して寄贈された芸術作品が沢山収顧されています。
本較は明治27年に富山県工芸学校として、若き美術家・工芸士の養成学杖として開校されました。創校当時の学校は、一流の指導者、日本一の施設設備、そして近郷近在から集まってくる優秀な学生と三拍子揃った日本有数の美術系学校として風靡していました。
このような由緒ある地で、県下中学生を対象に美術・工芸作品を一同に展示することは大変意義のあることであり、今回で第11回を迎え、絵画・クラフト両部門の応募数も年々増え、作品内容も充実していることは主催者として大変喜ばしいかぎりです。
おわりに、生徒の指導に当たられた中学校の先生方や4月から企画運営に当たられました関係各位に厚く感謝申し上げます。感謝申し上げます。
第11回青井中美展 青井大賞
「異次元のチョウ」
佐賀 一仁 志貴野中学校2年
青井中美展審査評
絵画部門
鶴谷 登・熊谷 正克・吉川 信一
応募点数404点、入選点数154点で入選率約38%と厳選となりました。全体的にレベルが向上しており、プロ顔負けの優れた作品もありました。
富山県知事賞の「ヤマネーランド」高木由貴さんの作品は、画面に広がりを持たせた構成力には感心させられる。 優秀賞の「秋の風景」串田麻由美さんの作品は、秋の紅葉の色が鮮やかで、緑色とマッチして趣きを感じさせる。お寺の表現も素晴らしい。 チューリップテレビ優秀賞の「冬の街」塚原佐知子さんの作品は、町並みの家の描写と色調がとても良く、北陸特有の重い雪のイメージと雪の白さを表現しようといろいろと工夫を重ねた努力の後が見え、良い作品となっている。 その他、デッサンカのあるものや、風景をしっかり描いたものなど優れた作品がたくさんあった。
この機会に展覧会を見学して、多くの事を学んで欲しい。
彫刻・工芸部門
大角 勲・竹田 貞郎・吉井 清隆
彫刻・工芸部門は昨年より応募点数が増え、作品の質も向上しています。傾向としては大作など迫力のあるものや、彫刻・工芸表現の基本をふまえた力作が多く見受けられましたが、展示数の上限が決まっているので、鑑査に大変苦労しました。
青井大賞の佐賀一仁さんの彫刻作品「異次元のチョウ」は、厚紙、小枝、竹ひごを使用して、昆虫の体を幾何形態の組み合わせにより構成したもので、金属的な着色もマッチして、存在感の強い表現となっています。また、自然の素材の形や特性を生かし表現に工夫がみられる秀作です。
優秀賞の山下麻湖さんの作品「魚」は、身近な題材(乾物の魚)に着目してよく観察し、的確なモデリングによる浮き彫りで造形したもので、感性豊かな作者のセンスが伺えます。
優良賞の正和朗実さんの作品「鷹」は、芯の針金により大まかな動きをしっかり捉え、鍛金技法による鳥の動勢のあるフォルムと台の関係を効果的に構成させ、ダイナミックな空間を演出しています。
デザイン部門
玉井 晶夫・太田 広信
今年の中美展の中でデザイン部門には、326点の出品数があり、この中で約1/4が入選となりました。したがって、落選・入選という審査だけでも大変難航しました。入選された作品はどれも質的に高いものであり、入賞作品は厳選された入選作品から特に創造性豊かで努力のあとがみられるものを選びました。 富山県教育委員会賞となった「世界は今・‥」は時代性を立体的に表現した秀作です。たまに街で見かける2面壁画を3面立体ポスターに変えた作品です。戦争というテーマを3枚の画で表現し、それを紙細工で組み立てた労作です。見る人が移動することによって変化する動画的なポスターは、観る人に強いメッセージを発揮します。
その他、入賞作品は全体に大胆で明るく、色彩的にも調和された作品ばかりです。ただ、デザイン部門で規格外という作品があり、審査の対称から外れたのが惜しまれます。
第11回青井中美展 入賞作品
富山県知事賞 |
富山県教育委員会教育長賞 |
最優秀賞 |
優秀賞 |
富山新聞社優秀賞 |
チューリップテレビ優秀賞 |